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処暑 しょしょ

二十四節気 - 8月22日ごろ

二十四節気の「処暑(しょしょ)」は、厳しい暑さが終わる時期です。「処」は「落ち着く」や「止まる」という意味があり、日中はまだ暑さが続きますが、朝や夕方には心地よい風が吹くことが増えてきます。

◇自然の変化
この時期にはさまざまなトンボが飛び交い、秋の訪れを感じさせます。トンボは、その存在が日本の文化や歴史と深く結びついています。

「トンボ」という名前の由来にはいくつかの説があります。一般的には、細長い体が空を飛ぶ姿から「飛ぶ棒」という意味で名付けられたとされています。また、「飛ぶ羽」が変化したという説もあります。
古代日本では、トンボを「蜻蛉(かげろう)」とも呼んでいましたが、これはトンボが水辺を飛び交う姿が陽炎(かげろう)のように見えたためとされています。
さらに、「秋津虫(あきつむし)」とも呼ばれました。「秋津」はトンボを指す言葉として使われ、日本列島の形をトンボに見立てて「秋津島(あきつしま)」と呼ぶこともありました。

トンボは、日本の歴史や文化において特別な存在とされてきました。弥生時代に作られた「銅鐸(どうたく)」にはトンボの姿が描かれており、田んぼで害虫を食べる「益虫」として、稲の豊作を象徴する田の守り神とされてきました。

また、戦国時代の武将たちはトンボを「勝虫(かちむし)」や「勝軍虫(かちいくさむし)」と呼び、勝利を呼び込む縁起の良い虫として重宝しました。後退することなく前へ飛び続ける姿が「後退しない=負けない」という意味に通じ、武具や兜にその姿を施すことで、戦場での勝利を祈願したとされています。

◇季節のイベント
立春から数えて210日目に当たる日(毎年9月1日頃)を「二百十日(にひゃくとおか)」と呼びます。この日は、台風が接近しやすく、農作物に甚大な影響を与えることが多いとされ、昔から「厄日」として警戒されてきました。地域によっては、風除けを祈願する祭りや、農作物の豊作を祈る行事が行われ、特に農業が盛んな地域では、こうした儀式が今でも大切にされています。

過去の統計(1991~2020年の平均)によれば、年間で約25個の台風が発生しています。そのうち、9月平年の発生数は5個、上陸数は1個となっています。台風シーズンのピークであるこの時期には、気象情報をこまめにチェックし、非常用の備蓄品や避難経路を確認することが大切です。
参考)台風の発生、接近、上陸、経路(気象庁)

処暑の時期は夏の疲れが出やすく、熱中症や夏バテにも注意が必要です。栄養バランスの取れた食事を心がけ、適切な水分補給や涼しい場所での休息を心がけましょう。十分な睡眠を取り、規則正しい生活を送ることで、夏の疲れを残さずに秋を迎えたいですね。

  

季節を表す「二十四節気」

二十四節気は1年を春夏秋冬の4つの季節に分け、さらにそれぞれを6つに分けたものです。立春、春分、夏至など、季節の移り変わりを表す言葉として用いられています。

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