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台風の「危険半円」とは
天気の知識
例年、夏になるとやってくる台風は、日本列島の各地に大きな被害をもたらします。そして、時折ニュースなどで台風の「危険半円」という言葉が出てきますが、その意味をご存じでしょうか。
気象衛星からの写真を見ると、台風は巨大な渦を巻いており、地上付近では風が外側から中心へ、必ず反時計回りに回転しながら吹き込みます。これは、中心の低気圧に向かって空気が流れるときに、地球の自転の影響を受けて、常に右向きのカーブを描いて曲がるためです。(ちなみに、南半球では風が左に曲がるために、時計回りになります)
台風は日本の南で発生した後、上空の風に流されて北上します。このとき、台風の進行方向に対して右側では、台風を移動させる風と、台風自体の風の向きが一致するため、風がより強まります。
海上を航行する船舶において、台風の進行方向に対して右側は航行が危険になるため「危険半円」と呼びます。陸上でも強風による被害が大きくなるおそれがあるので、より警戒してください。
左側は、台風を移動させる風と、台風自体の風の向きが逆になるので少し弱くなります。こちら側を航行中の船は、台風の風が追い風となって台風の圏内から脱出しやすくなるため、「可航半円」と呼ばれます。といっても警戒が必要なことに変わりはないので、左側だからといって安心はできません。台風が接近しているときは、外出を控え、気象情報や自治体からの発信を確認するようにしましょう。